ベーシックインカムとボランティア活動

先日、テレビでベーシックインカムについて放映されていたが、ネットで調べてみると以下のように書いてあった。
就労や資産の有無にかかわらず、すべての個人に対して生活に最低限必要な所得を無条件に給付するという社会政策の構想。社会保険や公的扶助などの従来の所得保障制度が何らかの受給資格を設けているのに対して無条件で給付する点、また生活保護や税制における配偶者控除など世帯単位の給付制度もある中で個人単位を原則とする点が特徴である。すべての人に所得を保障することによる貧困問題の解決に加え、受給資格の審査などが不要なため簡素な制度となり管理コストが削減できること、特定の働き方や家族形態を優遇しないため個人の生活スタイルの選択を拡大できることなどが、メリットとして指摘されている。一方で、膨大な財政支出の財源をどうするか、導入によって誰も働かなくなるのではないかなどの批判もあり、論争が繰り広げられてきた。ベーシック・インカムに類する考え方は、資本主義社会の成立期から見られ、1960〜70年代には欧米で議論が展開されてきた。さらに80年代以降、働き方の多様化や非正規雇用・失業の増大、家族形態の多様化、経済活動が引き起こす環境問題の顕在化など、これまでの福祉国家が前提としてきた労働や家族のあり方が変わってきたことを背景に、従来とは異なる考え方の所得保障構想として注目を集めている。
残念ながら日本ではこのベーシックインカムの本格的議論はなされておらず、働き方改革の議論でも考慮されていない。それは「労働の対価としての賃金・所得」という概念が強すぎるからではないかと思われる。人間の労働を「稼ぎ」と「仕事」に分けて考えることを内山節氏は提案しているが、そのとおりだと思う。用水の修復や入会地の整備等は地域全体の賦役であり、それには労働対価としての賃金は存在しない。企業が人間の労働を稼ぎの尺度だけで考えると、ブラック企業となってしまう。企業活動には「利益の追求」と「社会貢献」の2つ側面がある。
ここ数年、学生と一緒にボランティア活動の研究をしているが、ボランティア活動を「社会貢献活動」としてとらえ、その原則の1つとして「無償労働」が掲げられている。その結果、学生は「就職」活動の一貫としてボランティア活動に参加している。私はそれは違うと思う。ボランティア活動は労働のうちの「仕事」の分野であり、仕事だから社会貢献であり無償なのだと思う。しかし、これにもう1つ加えにければならないのが「ベーシックインカム」という視野階制度である。ボランティア活動はベーシックインカムと一体となることによって社会に定着し、これからの若者が活躍する社会の姿になると感じている。所得補償については25年前から試みられた「農家の直接支払い」があるが、日本国民には農業労働における「仕事」の部分が見えず、EUのようにはなっていない。農業労働が地域環境を保全していることに対して「地域環境保全費用」の支払いをEU市民はしており、その理解が未だに進んでいない。その結果、日本では気候変動枠組みや生物多様性の取組が進展せず、「有機農業」が「嗜欲の安全」という視点だけで語られている。明治維新前まで「ジネン」という意識を持っていた日本人が一神教EUの後塵を拝しているのである。