消費者庁設置に対する意見(昨年の意見)

消費者行政を一元化する消費者庁設置関連法案が可決され、年内に発足発足する見通しとなった。これは中国産の毒入り餃子事件に端を発し、MA米の事故米問題等の食品事故や産地偽装問題が多発し、従来の縦割り行政では対処できないという理由で今回の法案に至った。しかし一連の問題の原因は消費者庁の設置ということで解決できるのだろうか。対処策としては産業別タテ割行政から消費者に顔を向けた行政対応に転換することによって消費者保護は図られるかもしれない。しかし一連の問題の根本的原因に目が向けられていないのではないか。
何故ならば、一連の問題は消費者が食に対して求めてきた価値感の必然的結果であり、そこにメスを入れない限り根本的解決には至らない。これまで消費者は食に対して新鮮・美味・安全・安心・健康・廉価・便利・安定という価値感を追い求め続け、その価値感に対応するのが食品マーケティングであった。その結果、流通業者や食品メーカー、外食産業は国内生産では対応できないので海外生産にシフトし、食料自給率は低下した。消費者は未だに安全・安心と口では言いながら国産より安い海外産を買い続けている。そこに根本的原因があり、消費者が食の向こう側の農業と環境の価値感と自分との利害関係性に気がつくことが先決ではないだろうか。