知恵と汗と金

「知恵を出せ。それが出来ない者は汗をかけ。それが出来ぬ者は去れ」とういう言葉は松下幸之助とも土光敏夫とも言われている有名な言葉である。私は前回のブログで書いた地域活動でこの言葉を思い出した。地域活動は夜逃げをしないので「出来ぬものは去れ」というわけにはいかない。「出来ぬものはされ」という言葉の代わりに「金」書いた理由は、「地域活動はやりたいが金がないから出来ない」という言葉が嘘であることの証明をしたくて書いた。

地域活動に必要なものは「知恵」と「汗」と「金」であることは間違いがない。知恵とは、活動地域の風土や地域の人々の気質を知り、地域のひとが喜んで参加するような活動を企画することだ。汗とは地域の活動に報酬を求めずに参加することで、そこには義務は存在しない。自分の体力以上の汗はかく必要が無い。金とは地域活動をするには資金が必要であるが、その資金を補助金に頼らないことだ。自治会活動には会費の他に行政から補助金が出る。私は現在、従来の自治会活動から広域の地域活動に移っている。自治会の時には予算があったが、活動資金が潤沢でなかったのでイベント活動等で資金を集め、活動内容を拡大した。その後、6000世帯を対象とする広域地域活動を15年前から始めた。そこでの活動は資金ゼロから始まり、自治会で培ったノウハウを活用して資金を集め活動を展開している。自治会と異なり、そこには行政からの補助金は全く無い。

広域活動の一つの交流活動としては、お正月餅つき大会、夏休み流しソーメン大会、ごみゼロ収穫祭等のイベントを開催し、参加費を徴収している。イベントにかかる費用の殆どは原材料費であり、参加費との差額を積み上げている。その積み上げた予算で炊き出し釜や臼や杵等の必要な器材を購入している。ソーメン流しセットやサンマ焼き器などは、地域の鉄工所の協力で総て手作りである。活動開始当初は赤字になる場合もあったが、参加者数の予測や原料仕入れのノウハウが積み上がり、更に地域の自治会の協力等もあり活動資金が溜まってきている。私たちが現在展開している、地域防災を想定した炊き出し食事会については近隣の自治会が真似を始めているが、直ぐに補助金の話になっている。補助金に頼る自治会は、残念ながら自治会員の比率が低いところが多い。

私のところでもホタルの里の造成工事については、さすがに予算が無いので補助金の申請をした。工事については近隣の自治会員である業者が協力してくれたので低額で収まった。更にイベントの参加費についても毎年見直しを実施しており、多少の値上げをする場合もある。イベントは毎回、収支報告書を作成し全員で確認しながら実施している。

私の広域地域活動はお金が稼げるイベントだけではなく、地域の環境問題やごみ処理問題、子どもの教育問題や地域在宅介護問題等、取り組み課題が広範になっている。課題が広範になればなるほど活動予算が問題となる。行政に依頼しても返ってくる言葉は「金も人も無い」の一点張り。そこで現在は「ふるさと納税」を活用した地域活動資金の調達ができないかどうか検討している。ふるさと納税といっても現行のような寄付金の対価としてふるさと産品を送る仕組みでは無い。ふるさと納税の税金控除が来年度から確定申告ではなく、行政が税金を自動的に控除するようになる。この仕組を活用して寄付金を集める仕組みである。寄付金といっても地域での活動目的を明確にした事業に対する市民の寄付行為を喚起したいと考えている。単なる寄付金は集められても、それが地域に降りてくる間に半分以上が中間経費として無くなってしまう。だから寄付の相手先は市町村行政であり、更に市町村が地域活動を明確にして、市民の寄付が目的税の性格を持つような仕組みにしなければならない。この場合の市民とは地域の居住者だけでなく、地域活動に賛同する地域外の市民も対象となる。現在、詳細を検討中であるが、これは新しい税金の仕組みでもあり、市町村行政が交付金に頼らないで自立する方法でもある。